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低血糖昏睡に備えるには?

血糖値が急激に下がることで意識を失う「低血糖昏睡」は、糖尿病において最も危険な状態といえます。しかし低血糖には様々な原因が考えられ、対処法も個々によって異なります。自分や家族に考えられるリスクをチェックし、避けるための工夫を事前に知っておきましょう。

低血糖の症状とは?

血糖値が70mg/dlにまで下がると、低血糖状態といわれる症状をひき起こしやすくなります。症状の例は以下のようなものがあります。

  • 冷や汗
  • 動悸
  • 手足の震え
  • 頻脈
  • 顔面蒼白
  • 強い空腹感
  • 頭痛
  • 生あくび
  • 集中力の低下
  • 意識がもうろうとする
  • けいれん

血糖値が低下しつづけて50mg/dl未満になると、昏睡に陥る危険があります。低血糖昏睡は非常に危険な状態なので、異変に気づいたらすぐに対応する必要があります。

低血糖の原因は?

低血糖を招く要因として以下が考えられます。

  • 欠食または食事量の不足
  • 飲酒やつまみによる高血糖
  • 激しい運動、または長時間の運動
  • 早朝高血糖の対処としてのインスリン増量
  • 薬の取り扱い
  • 入浴

運動については、特に空腹時は避けるようにします。運動直後だけでなく、運動した日の夜間や翌朝に低血糖を招く場合があるので注意が必要です。

早朝に血糖が高い場合は、夜間に低血糖が生じている可能性があります。低血糖を起こすとホルモンの働きによって血糖値が上昇し、朝には高血糖値を示すことがあります。これをソモジー効果といいますが、「インスリンが不足している?」と考えて増量してしまうと、さらに低血糖からの血糖値上昇を招く悪循環に陥るので注意が必要です。

薬の取り扱いについては、食事時間と服薬のタイミングが合っていない、薬の量が多い、インスリン混和不足などが考えられます。

低血糖が起こったら

低血糖発作が起こったときは、応急処置としてブドウ糖や砂糖の補給をします。量は10g前後(飴玉2~3個分)ですが、ノンシュガーの飴など十分に血糖が上がらないものがあります。いざという時に備えて、原材料をきちんと確認しておきましょう。

ブドウ糖や砂糖を含むジュース150~200ml(コップ1杯分)でも代用できます。糖分を含む飲料は吸収スピードが速いという利点があります。ただし、意識がない方に与えるのは危険です。朦朧としているときは10g程度の砂糖を少量の水分でのばして口内に塗り付けるようにします。

いずれの方法でも、15分経過して症状が改善しない場合は再度糖分を補給します。意識が低下するほどの重い症状の場合は、一時的に回復しても再度低血糖発作が起こる危険があります。すぐに医療機関へ相談しましょう。

低血糖時にはご家族の方がグルカゴン注射を行う方法もあります。処方された場合は、急な発作であわてることがないよう分からないことは遠慮せず医師や看護師、薬剤師に尋ねましょう。

まとめ

低血糖昏睡は非常に危険な状態です。繰り返し起こってしまうと患者さん本人も不安を抱え、強いストレスになってしまいます。軽いめまいやしびれ程度の症状でも軽視せず、かかりつけ医師に相談して低血糖の原因がないかよく見極めましょう。また、家族と低血糖時の対応についてあらかじめ話し合っておくことも大切です。