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アルコール消毒薬の正しい使い方と手荒れ対策

アルコール消毒は感染症予防に高い効果があり、近年では出入口にアルコールスプレーを設置する公共施設がほとんどです。また、携帯のアルコールジェルを持ち歩いている方も多いのではないでしょうか。しかし、アルコール消毒薬は正しい使い方をしていないと充分な殺菌効果が得られません。今回は使用時のポイントと手荒れ予防の対策について解説します。

アルコール消毒薬の殺菌効果とは

アルコール消毒薬は脂質膜(エンベロープ)やたんぱく質を変性させることで、菌やウィルスを破壊します。「ノロウィルスに対してはアルコール消毒が効かない」という情報もありますが、まったく効果がないわけではありません。ノロウィルスやロタウィルスはエンベロープを持たないので破壊しづらいのは確かですが、最近ではこれらノンエンベロープウィルスにも有効な酸性アルコール消毒薬が登場しています。

アルコールは手洗いとの併用がより効果的です。ウェルシュ菌など芽胞(ヨロイのような殻)をもつ菌にはアルコールが効かないため、これらは物理的に洗い流す必要があるからです。ただし、外出先などで手洗いできない場合はアルコール消毒薬だけでも効果はあります。手洗いとアルコール消毒薬それぞれ単独の殺菌効果を比較すると、アルコール消毒の残存細菌数は手洗いの5~50分の1にまで抑えることができるといわれています。

乾いた手に使うのが原則

手洗い後に使うときは、手に水気が残っていると効果が半減してしまいます。しっかり拭き取って乾燥したのを確認し、それからアルコール消毒薬を手にとるようにしましょう。

アルコール消毒薬は揮発するときにその効果を発揮するので、「噴霧して終わり」ではなくサラサラになるまで揉みこみ、乾燥させましょう。揉みこむ時間は短すぎても長すぎても良くなく、10~15秒を目安にします。雑菌が残りやすい指先から優先的に消毒しましょう。テーブルやドアノブなどの拭き取りにもアルコール消毒薬は有効ですが、この場合もしっかり乾かすようにしましょう。

手荒れしやすい場合は?

アルコールは脱脂・脱水作用があるため、繰り返し使うと手指の皮脂や水分が奪われて手荒れしやすくなります。手荒れでついた細かい傷に黄色ブドウ球菌が繁殖して、食中毒の原因菌になることもあります。

手指用のアルコール消毒薬には保湿剤が含まれていますが、過度に使えば手荒れしやすくなります。消毒が必要なタイミングを押さえて使用しましょう。消毒が推奨されるのは以下のタイミングです。

  • 外出から帰ったとき(外部から建物に入ったとき)
  • 調理の前後
  • 生肉や生の魚などを触ったあと
  • 食事の前
  • トイレのあと
  • ペットを触ったあと

温水で水仕事をすると手指の油脂が奪われ、アルコール消毒薬のダメージを受けやすくなります。熱すぎない温度に調整する、またはゴム手袋を使って手指のうるおいを保ちましょう。

入浴のあとや就寝前などのタイミングにハンドクリームを塗っておくことも大切です。幼児だとまだ皮膚が弱く、消毒薬を繰り返し使うことで手が荒れやすいお子様もいます。保護者の方がしっかりケアしてあげましょう。できればハンドクリームの共用は避けて個別に用意しておくと良いでしょう。

まとめ

アルコールは外出先でもサッと消毒できますが、その殺菌効果を得るには「乾いた手に使うこと」「10~15秒で揮発する量を揉みこむこと」が大切です。頻繁に使っていると手荒れしやすいので、ハンドクリームでしっかり保湿しておきましょう。