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高血圧症の原因と予防と対策

血圧は常に変動しています。一日単位の血圧変動をみると、睡眠中の血圧は低く起床とともに上昇していきます。日中の活動時間の血圧は高く、活動量が低下する夕方から夜にかけて再び低下していくというリズムが基本です。
高血圧症とは、血管の中を流れる血液の圧力が強くなり続け、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。

高血圧症の種類と原因

「本態性高血圧症」

発症原因が判らないものをいい、高血圧症の約90%がこれに該当します。本態性高血圧症は遺伝的要因や、生活習慣などの環境要因が関係していて生活習慣病といわれています。
原因は以下です。

1.お食塩摂取量が多い

食塩をとると、体内の水分が血液中に集まります。その結果血液の量が増え、血圧が上昇するのです。通常は余分な塩分と水分は腎臓から排出され、血液の量は正常に戻り、血圧も安定します。ところが食塩を多量に摂取つづけると、血液中の塩分を早く排出しようと、心臓が腎臓により多くの血液を送り込むため、働きが不十分になって排出が追いつかず、血液の量が増えたままになり、血圧が上がった状態になるのです。

2.内臓脂肪型肥満

内臓脂肪が増えると、インスリンの働きが悪くなります。すると膵臓(すいぞう)から大量のインスリンが分泌されるようになりますが、インスリンには腎臓(じんぞう)からの塩分(ナトリウム)の排出を妨げる作用があります。その結果、血液中の塩分濃度が上昇し高血圧をまねきます。

3.高血圧になりやすい体質

日本人の高血圧症の患者さんの約半数は親からの高血圧になりやすい体質を受け継いでいるといわれています。高血圧になりやすい体質には、塩分感受性(塩分の影響を受けやすい)やカルシウムの調整機能がよくないなど、様々なものがあります。親族を見て高血圧の人がいる場合は、自分もリスクが高いと考え、血圧に気をつけるようにしましょう。

4.過剰な飲酒

アルコールは飲んだ直後には、血管が開いて血圧は下がりますが、アルコールがさめた翌朝などに血圧が上がります。大量に飲む人は長年のうちに、血圧が高くなってきます。

5.精神的ストレス

ストレスによって緊張や不安を感じると、血管が収縮して血圧が上がります。

6.自律神経の乱れ

血管が必要以上に収縮したり、塩分が必要以上にたまったりして、血圧が上がります。

7.運動不足

余分な塩分を排出する働きが低くなり、血圧が上がります。

8.野菜や果物(カリウム)不足

カリウムには血圧降下作用があるので、不足すると血圧の上昇を招きます。

9.喫煙

タバコは1本吸うたびに血圧の上昇が15分程度続くといわれています。

10.加齢

若い時期には血管はしなやかなので、勢い良く流れてくる血液に対し血管の壁がクッションの役目として働き、血圧は上がりにくいのですが、加齢と伴に血管の壁はしなやかさを失い硬くなります。そのため、血液はそのまま勢い良く壁にぶつかり血圧は上がりやすくなります。

高血圧症の種類と原因

「二次性高血圧症」

身体の中に血圧上昇の原因となるはっきりとした病気がある時には、これを二次性高血圧症と呼びます。
原因は原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、その他さまざまな腎臓病などがあります。
※原発性アルドステロン症は、副腎(ふくじん)から分泌されて血圧を上げるアルドステロンというホルモンが、異常に多く分泌される病気です。

症状

高血圧の怖い所は糖尿病と同じく「自覚症状がないまま進行してしまう」という点です。自覚症状がないからと言って、そのまま放置すれば様々な合併症を引き起こします。症状がないまま身体を蝕んでいくことから、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。進行すると血管の壁が弾力性やしなやかさを失い、また血管の壁に傷が生じて、その傷にLDLコレステロールなどが沈着すると、動脈硬化(どうみゃくこうか)が促進されます。動脈硬化は、細い血管にも太い血管にも起こり、様々な病気の「危険因子」になります。ただし重症の高血圧になると動悸、胸痛、呼吸困難、むくみ、手足のしびれなどを感じることがあります。その場合は早急な対応が必要です。

高血圧の予防

高血圧は典型的な生活習慣病です。高血圧の要因となるものを見直してみましょう。

①食生活

減塩による降圧効果は個人差がありますが、食生活の中で減塩を心掛けましょう。

減塩のコツ

醬油やソースよりお酢やレモン、柚子、コショウ、ゴマで味付けを工夫する。つゆには天然だし(昆布、しいたけ)をきかせて、醬油や塩を減らす。外食のラーメンやうどん、そばの汁はできるだけ残す。寿司につける醬油の量は少しにする。薄味に少しずつ慣れるようにする。

ミネラル類を積極的にとる

塩分の排泄を助ける成分にはカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルがあります。但し血糖値が高い人は果糖の多い果物は控えめにして下さい。腎臓病の疾患がある人はカリウムの取り過ぎで症状が悪化する恐れがあるので、かかりつけの医師に相談して下さい。

DASH食

アメリカで開発された血圧を上げないための食事です。野菜、果物、ナッツ類、豆類、魚類、低脂肪乳製品、穀類(全粒粉)などを中心とした複合食が、血圧を下げる効果があるとされています。

運動で血圧を下げる

適度な運動は高血圧を改善する効果があります。自分に合った有酸素運動を見つけて、ストレスも解消できる、無理のない運動を続けましょう。お手軽な運動はウオーキングがお勧めです。

酒やタバコは高血圧のリスクが高まります。

血圧が高めの人は酒、タバコを控えるか禁酒、禁煙を試みましょう。

まとめ

セルフケアを実践して高血圧症を予防しましょう。気持ちをおおらかに、なるべくイライラしないよう穏やかな毎日を過ごしましょう。高血圧症のリスク年齢になったら定期的に健康診断を受けましょう。病院と家庭では血圧の数値が違う場合がありますので、家庭でも定期的に血圧を測りましょう。もし何か身体がおかしいと自覚した場合は、早めに医療機関で受診して下さい。