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トランス脂肪酸の危険性とは?

スーパーやコンビニで「トランス脂肪酸ゼロ」と表記された商品を見かけることが多くなりました。時折テレビでもその危険性について報道されているようですが、「なんとなく摂らない方がいいもの」ということは分かっても、その詳細についてあまりご存じでない方は多いのではないでしょうか。今回はそんな「トランス脂肪酸」の概要と危険性について、かいつまんで説明していきたいと思います。

トランス脂肪酸は何が問題?

トランス脂肪酸は、油脂を構成する「脂肪酸」の一種です。脂肪酸をはじめとする油脂はエネルギーや細胞膜、ホルモンの材料として身体に必要な成分ですが、その中のひとつであるトランス脂肪酸は身体に必要のない成分と考えられています。
むしろ、多量に摂取することで血中のコレステロール環境を悪化させていわゆる「ドロドロ血液」にしてしまうため、動脈硬化やそれに起因する心臓病を招く恐れがあります。
WHO(世界保健機構)では2003年に「トランス脂肪酸の摂取は総摂取エネルギーの1%までに抑えるべき」との声明を発表しています。
具体的な例で言えば、1日に摂取するエネルギーが1900kcalの方の場合トランス脂肪酸の摂取はおよそ2gまでに抑えるのが望ましいとされています。

影響は動脈硬化だけ?

トランス脂肪酸の身体への影響についてはまだ分かっていないことが多く、がんや糖尿病など他の疾患についての関連性は現在のところ不明です。
しかしながら、ヨーロッパにおける研究ではトランス脂肪酸の摂取が多い国において子どもの喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎の発症率が高いことが分かっています。アトピーの子どもの細胞膜を構成するトランス脂肪酸比率が、健常者のそれより高かったという報告もあります。

日本人はトランス脂肪酸の摂取量が少ないから安心?

日本人のトランス脂肪酸摂取については関係省庁がそれぞれ調査を行っていますが、そのほとんどが総エネルギー比0.3~0.5%、すなわちWHOが提唱する「1%未満」の指標をクリアしています。
しかしながらこの値は飽くまで平均値であり、食生活の多様化した現代ではトランス脂肪酸の摂取に大きな個人差が見られます。特に外食や市販の菓子、菓子パンを多く利用する方ではトランス脂肪酸摂取の割合が多く、ある調査では被験者の男性でおよそ6%、女性でおよそ24%の方がエネルギー比1%を超えていたというデータもあります。

トランス脂肪酸は何に含まれているの?

トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングといった人工的に固形化した油脂(硬化油)の他、天然由来のものも存在します。

①反芻する動物の胃で作られる

牛や羊といった反芻する動物の胃に存在する微生物の働きで、天然のトランス脂肪酸が作られることが分かっています。しかし、反芻動物由来のトランス脂肪酸が冠動脈疾患へおよぼす影響は低いと言われています。

②植物油の硬化、サラダ油の脱臭工程で作られる

マーガリンやショートニングは植物油に水素添加することで固形の状態に変化したものですが、その製造工程でトランス脂肪酸が生成することが分かっています。また、サラダ油を脱臭する際に200℃以上の高温処理をすることで少量発生します。

③注意するのはマーガリンだけではない

「マーガリンを買わなければ大丈夫?」と思われがちですが、問題はそれだけではありません。マーガリンやショートニングを使って製造される食品を日常的に多く摂っているとトランス脂肪酸の多量摂取につながります。

トランス脂肪酸が多く含まれる加工食品は、例えばクッキーやビスケット、パイ、ケーキなどの菓子類、デニッシュやクロワッサンといった菓子パン、外食で利用するピザやフライドポテト、チキンナゲットなどです。
特にショートニングはサクッとした口当たりやパリパリした食感で消費者が好む質感に仕上がるため、加工食品では多く使用されています。ショートニングを家庭で使うことは少ないので意識しづらいのですが、知らないうちに多く摂取している可能性があるので注意しましょう。

終わりに・・・

今回その危険性をお伝えしたトランス脂肪酸は、現在の日本において平均摂取量が少ないこともあり、他国と比べてあまり問題視されていない現状があります。
しかしその摂取量には個人差が大きいので、外食や市販の菓子類、菓子パンをふだんよく利用する方は注意が必要です。ショートニングやマーガリンが原材料に記載されている食品やファストフードの利用を抑えることも視野に入れてみましょう。
また最近ではトランス脂肪酸の含有量を記載している商品も増えているので、チェックしてみるのもおすすめです。