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感染症の効果的な予防法と対策法

感染症とは、環境中に存在する、病原体の微生物が人や動物の体内に侵入して、引き起こされる病気です。今回はこの感染症の原因と、予防法、対処法についてご紹介します。

感染症とは

環境中に存在する、病原体の微生物が人や動物の体内に侵入して、引き起こされる病気です。
私達の身の回りには、目に見えない多くの微生物が常に存在しています。
その中で、感染症を引き起こす微生物を病原体といいます。病原体は大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌(カビ)、寄生虫に分類されます。感染は、病原体が人や動物の体内に侵入、定着し、増殖することで成立し、疾病を引き起こします。病原体が食べ物の中で増殖すると、食中毒の原因になります。病原体が体内に侵入しても、症状が現れる場合(顕性感染けんせいかんせん)と現れない場合(不顕性感染ふけんせいかんせん)とがあります。感染症となるかどうかは、病原体の感染力と体の抵抗力のバランスで決まります。不顕性感染者は知らない間に保菌者(キャリア)となって、病原体を排泄し、感染源となり感染を拡げる可能性が高いのでしばしば問題となっています。秋から冬にかけて注意したいのはウイルスや細菌からの感染です。特にウイルスは気温や湿度の低下に伴って活性化し、人の体内で増殖して強い感染力を持って人から人へと広がります。インフルエンザ、ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)、RSウイルスは秋冬に大流行する事が多い感染力の強い感染症です。高齢者や乳幼児は免疫力が弱いために感染症になりやすく、重症化しやすいため注意が必要です。

感染経路を知る

病原体が体に侵入する経路には、大きく分けて垂直感染と水平感染の2種類があります。

垂直感染

妊娠中、あるいは出産の際に、病原体が赤ちゃんに感染する事をいいます。一般的に「母子感染」といわれています。風疹やトキソプラズマ、B型肝炎などが垂直感染を起こします。

水平感染

感染源(人や動物)から周囲に広がるもので、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに大きく分類する事ができます。

接触感染

皮膚や粘膜の直接的な接触や、手、ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、ボタン等の表面を介しての接触で病原体が付着することによる感染のことです。病原体に汚染された食品・物・手指、病原体を含む汚物・嘔吐物を介して主に口から体内に侵入します。疾患としてノロウイルス、ロタウイルス、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などによる感染性胃腸炎が代表です。
HIV感染によるエイズ、クラミジアのような性行為による感染症は、血液や体液、粘膜を通して感染する接触感染になります。

媒介物感染

病原体を持つ動物に噛まれたり、引っかかれたり、体や糞に触れることによって感染する狂犬病やトキソプラズマなどや、蚊・ノミ・ダニなどに刺されて感染するマラリアや日本脳炎などのように、動物や昆虫を媒介として感染する場合や、汚染された飲食物を摂取する事で感染するコレラなどがあります。

飛沫感染

飛沫感染とは、咳、くしゃみや会話によって飛んだつばや、しぶき(飛沫)に含まれる病原体を吸入することで引き起こされる感染です。飛沫の届く範囲は感染源から1~2m程度と言われています。そのため、マスクの着用や感染源から距離をとることが有効な対策となります。飛沫感染で起こる疾病の代表としては、インフルエンザ、風邪症候群、おたふく風邪、風疹(ふうしん)などです。

空気感染

飛沫に含まれる水分が蒸発した直径0.005mm以下の粒子を飛沫核といい、空間に浮遊して広範囲に広がります。病原体はホコリと共にも浮遊し、これらを吸入することで伝播することを空気感染といいます。疾病の代表としては、ノロウイルス、麻疹(はしか)ウイルス、結核菌、水痘(みずぼうそう)

感染症に対する基本的な対策

ウイルスによる感染症の治療はいまのところ季節性インフルエンザ以外にはウイルスを撃退する特効薬はなく、対処療法しかありません。そして感染症は、原因となる病原体や感染経路が異なるため、各々の感染症に対する予防対策が異なります。それだけに、感染力が強い感染症から身を守るには、ウイルスや細菌の特徴や感染の仕方を知り、とにかく体内に侵入させないよう「手洗い」「うがい」を徹底することが大事な基本となります。石けん液だけの日常的な手洗いだけでは、落としきれずに残ったウイルスや細菌を除去するのに、アルコール消毒は有効です。うがいは、ウイルスや細菌が増えるスピードを考えると少なくとも1日4回以上(起床時、食間、就寝時前など)うがいするとよいでしょう。外出から戻ったら、丁寧にうがいをしましょう。部屋の中が乾燥しないように加湿器の使用も有効です。

免疫力を低下させない

私たちの体は、感染症を起こす病原体に対して、免疫の働きによって感染を防御したり、症状を治したりしています。人の免疫機能が低下して抵抗力が弱った場合には、通常では無害の常在細菌(体内に存在する細菌)、環境中に多数存在する細菌、過去に不顕性感染した細菌(結核菌、ヘルペス等)が活性化し、感染症を引き起こすことがあります。これを日和見感染(ひよりみかんせん)といいます。感染症の予防には睡眠不足や、過労、栄養不足を避け、体の免疫力を高めましょう。免疫力が高まれば、ウイルスや細菌が体内に侵入したとしても自らの力で撃退することができます。

感染症対策に有効な免疫力を高める栄養素

免疫力を高めるためには、腸の環境を改善し、その働きを活発にすることが大切です。そのためには、まず、栄養バランスの良い食事をすること。そして規則正しい食事をすることで、腸が活発に動き出します。ヨーグルトや発酵食品、食物繊維、オリゴ糖などは、腸内フローラを改善して、免疫力を高めてくれますので、積極的に摂取するようにしましょう。また、免疫細胞そのものを活性化させるために必要な栄養素もあります。
また、免疫細胞そのものを活性化させるために必要な栄養素もあります。

タンパク質

「タンパク質」は免疫細胞の働きを良くしてくれます。
タンパク質を多く含む食品は以下です。

  • 肉類
  • 魚介類
  • 乳製品
  • 大豆製品
ビタミンA(βカロテン)

「ビタミンA(βカロテン)」は体内の粘膜を正常に保ち、抵抗力を強める働きがあります。
ビタミンA(βカロテン)を多く含む食品は以下です。

  • 豚肉
  • レバー
  • うなぎ
  • 乳製品
  • 人参
  • かぼちゃ
  • 緑黄色野菜
  • 海藻
ビタミンB1

「ビタミンB1」は皮膚や粘膜などの健康維持を助ける働きがあります。
ビタミンB1を多く含む食品は以下です。

  • 豚肉
  • レバー
  • 豆類
  • 玄米
  • 胚芽米
  • 全粒粉
ビタミンB2

「ビタミンB2」は代謝を促し、細胞の活性化を促してくれますので、疲労回復に効果的です。
ビタミンB2を多く含む食品は以下です。

  • レバー
  • うなぎ
  • 納豆
  • 乳製品
  • 緑黄色野菜

ニンニク、たまねぎ、長ねぎに多く含まれる硫化アリルは、一部がアリシンという成分に変化し、免疫力を高める効果があります。アリシンはビタミンB1,B2の吸収力を高める効果もあります。

ビタミンC

ビタミンC」は白血球の働きを強化し、免疫力を高めます。
ビタミンCを多く含む食品は以下です。

  • アセロラ
  • ピーマン
  • 芽キャベツ
  • ブロッコリー
  • ジャガイモ
  • 緑茶
ビタミンE

「ビタミンE」は血行を促します。
ビタミンEを多く含む食品は以下です。

  • アーモンドなどのナッツ類
  • 植物油
  • うなぎ
  • たらこ
  • かぼちゃ
  • アボカド
食物繊維

「食物繊維」は、感染症などに対する抵抗力をつける成分(水溶性食物繊維のイヌリン)が含まれます。
食物繊維を多く含む食品は以下です。

  • ゴボウ
  • レンコン
  • ブロッコリー
亜鉛

「亜鉛」は体の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する酵素の構成成分であり、免疫反応にも関与しています。
亜鉛を多く含む食品は以下です。

  • 魚介類
  • 牡蠣
  • うなぎ

まとめ

海外に渡航する方も感染症に対する正しい知識や予防に関する知識を身につけましょう。
体力に自信がある人も、感染症は他人事と捉えずに、しっかり予防と対策に取り組みましょう。また新型インフルエンザに対する免疫や特効薬がない分、恐怖が募りますが、ただやみくもに感染を怖がるのではなく、積極的に予防策をとって、大切な健康を守りましょう。