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最近耳にする「フレイル」とは?簡易チェックも

日本人の食事摂取基準2020年版では、65歳以上のたんぱく質エネルギー比の下限を15%に引き上げるなど、高齢者のフレイル予防が注目されています。フレイルとはそもそもどういった状態なのでしょうか?簡易診断も含めてその特徴をご紹介します。

フレイルは3要素から構成される

フレイルは、高齢者において「健康な状態」と「介護を要する状態」の中間地点を指すもので「Frailty(虚弱)」を語源としています。急激に要介護状態に陥るよりも、このフレイルと呼ばれる過程を通過して徐々に機能が低下し、自立した生活を送れなくなっていくのが一般的です。「要介護のリスクが高まってきた状態」とも言い換えられるでしょう。ただし、フレイルにあたる時期に適切なアプローチを行うことで、衰えた機能を取り戻すことは可能だと考えられています。フレイルは以下の3つの要素を合わせて総合的に評価されます。

身体的要素

栄養不足、食べる機能の低下、生活習慣病・骨粗しょう症・関節症などの疾患、筋力の低下

心理的要素

認知力の低下、うつ傾向

社会的要素

独居、社会参加活動の低下

65歳以上の日本人のおよそ11%がフレイル、33%が予備軍という報告があります。80歳以上では85%ともいわれ、無関係ではない方が多数であることがわかります。

フレイルをチェックしてみよう

フレイルの診断基準は様々なものがありますが、おおむね以下の5つの項目を見て判定していきます。

体重減少

ここ半年で特別な理由がなく2~3㎏以上体重が減った

疲労感

ここ半月ほど理由のない疲労感が続き、何をするのもおっくうに感じられる

歩行速度の低下

1m/秒未満

握力の低下

男性は26㎏未満、女性は18㎏未満

活動レベルの低下

1週間のうち軽い運動や農作業を含めて身体を動かす機会がなかった

3つ以上当てはまる場合はフレイル、2つ以上当てはまる場合は予備軍であるおそれがあります。該当するものが0個の場合は健常と判断されます。

また、両手の人差し指と親指でふくらはぎの太い部分を囲む「輪っかテスト」という方法もあります。指とふくらはぎの間に隙間が出来る場合は筋力低下のおそれがあります。

フレイルを改善するには

フレイルは「黄信号」の状態です。適切に改善していくことで健常の状態に近付くことが可能です。改善には以下のアプローチが重要になります。

筋肉量の増加

筋肉量を増やすことはフレイル改善の中でも有効な手段です。運動といっても軽い体操や散歩程度のもので良いので、無理せずできる範囲のものから始めてみましょう。

運動だけでは筋肉量が減ってしまうので、しっかり栄養状態を摂ることも必要です。1~2人世帯の場合、どうしても炭水化物に偏ってしまうことが多くなりがちなので、たんぱく質やたんぱく質合成に必要なビタミン・ミネラルを含む野菜や海藻を意識して摂るようにしましょう。

1回の食事量が少ない場合は、間食を増やす、高カロリー高たんぱくの栄養補助食品をプラスするといった工夫をすると良いでしょう。

病気をコントロールする

高齢になってくると糖尿病や高血圧といった生活習慣病をはじめ、関節症やリウマチなど様々な病気を複合的に有する方が大半です。症状があるときはどうしても運動する気が起きにくくなるので、病気のコントロールが上手くいかなければ自然と活動量が低下してしまいます。

持病がある場合はかかりつけの医師を定期的に受診し、きちんと治療を行うようにしましょう。

フレイルの場合は感染症をこじらせて悪化させるリスクが健常と比べて高いので、持病治療のついでにインフルエンザや肺炎球菌のワクチン治療を済ませておくと良いでしょう。

変化に気づく

定期的に外出の頻度が減っていないか、体重が落ちていないかなどのチェックを行いましょう。フレイルは気づくのが早ければ早いほど対処しやすくなります。できれば家族や周りの人とお互いの健康状態をチェックし合えると理想的です。

まとめ

フレイルにおいて大切なことは、「早めに気づき対処する」ことです。1シーズンに1回程度チェックをして、健康な生活を守る工夫をしてみましょう。