エアコンをつけると咳やくしゃみが止まらないという方は、意外と多いもの。その原因はエアコン内で繁殖したカビやダニのせいかもしれません。ここではエアコン内部のカビで発症するアスペルギルス症について解説していきます。
カビが原因のアスペルギルス症とは
エアコンの内部は冷房による結露で意外にも多湿です。1年を通して25~30℃と快適な温度が保たれ、ホコリがたまりやすいという特徴もあります。実はこの多湿で適温、ホコリが多いというエアコン内部の環境はカビが繁殖するのにうってつけなのです。また、冬場は窓枠などにカビが発生していることもあり、エアコンとは違いますがこちらも注意が必要です。
こうしたカビのなかでも、アスペルギルス属のカビによって引き起こされるのが「アスペルギルス症」です。アスペルギルス症は次の3つに分類されます。
- 急性肺アスペルギルス症
- 慢性肺アスペルギルス症
- アレルギー性気管支アスペルギルス症
急性肺アスペルギルス症は、HIVや白血病、抗がん剤の治療中など免疫力が非常に低下した方がかかりやすい病気です。致死率はなんと50%、インフルエンザの治療後にかかったという事例もあります。レントゲン診断では判断が難しいという特徴もあります。
慢性肺アスペルギルス症は肺結核などの既往によって気管支が拡張したり肺が空洞化している方に起こりやすい病気です。既往で変形している箇所にアスペルギルスが繁殖して、塊のようなものをつくります。
そしてアレルギー性気管支アスペルギルス症、これはもともとぜんそくなどのアレルギー体質のある方がかかりやすい病気です。ぜんそくのようなヒューヒューという喘鳴、咳などの症状をひき起こしますが、なかなか薬が効きにくいという特徴があります。
アスペルギルス症が疑われるときは?
レントゲンや喀痰検査、血液検査、問診からアスペルギルス症と診断された場合は、抗真菌薬で治療を開始します。アレルギー性気管支アスペルギルス症の場合はぜんそくの薬に加えてステロイド治療を行います。
治療のタイミングが遅れると肺が変形してしまうことがあるので、我慢しないで受診するようにしましょう。特に1か月以上咳や喘鳴が続いている場合は、早めに呼吸器専門の医療機関を訪ねましょう。
エアコンはクリーニングした方がよい?
抵抗力が極端に弱っている方や、もともとぜんそくなどのアレルギー体質をお持ちの方は、お部屋の掃除に加えて定期的なエアコン清掃が効果的です。
清掃する場所はフィルター、冷却器、送風機の3か所が主となります。フィルター清掃は比較的簡単なので、よくエアコンを使用するハイシーズンは2週間に1度、そうでない場合は1~2か月に1度を目安に掃除しましょう。
冷却器や送風機といった内部はクリーニング業者に1年1度の頻度で依頼するのがおすすめです。自分で洗浄スプレーを使って清掃するという手段もありますが、電装部分にスプレーがかかって火災の原因になってしまうので注意が必要です。
冷房使用後は送風して、内部の結露を防ぎましょう。「内部クリーン機能」があれば自動で送風してくれますが、自分で送風操作しても大差はありません。
まとめ
お部屋の中はキレイに掃除が行き届いていても、エアコン内部は意外と汚れているものです。「お掃除機能つき」のエアコンはフィルターのホコリを取ってくれるだけなので、通常のエアコン同様定期的な内部クリーニングが必要になります。しばらくエアコンの内部を覗いていないという方は、この機会にぜひチェックしてみましょう。