日本人のあいだで特に不足しているといわれる栄養素、カルシウム。骨をつくるというイメージが強いのですが、実は生命維持のためには欠かせないミネラルなのです。ここではカルシウムの役割や効果的な摂取をご紹介していきます。
目次
カルシウムの役割とは?
丈夫な骨をつくるカルシウムは、身体の中で様々な役割を果たします。神経伝達や興奮の抑制、筋肉の収縮、血圧上昇の抑制、出血時の止血などの働きによって、私たちは日々スムーズに活動することができるのです。血液中のカルシウムが不足すると生命活動に支障をきたすので、骨からカルシウムを分解して利用します。つまり、骨は身体を支えると同時に大切なカルシウムの貯蔵庫でもあるのです。
しかし、貯金を切り崩してばかりではいつか枯渇してしまいます。平均寿命が80歳以上となった現代において、カルシウム貯金はできるだけ残しておくのがベスト。たまにドカンと摂るのではなく、毎日こつこつと補給する習慣づくりを目指すと良いでしょう。
どんな食品に多いの?
カルシウムを多く含む食品といえば牛乳や小魚ですが、他の食品からもカルシウムを補給することができます。
乳製品
牛乳、チーズ、ヨーグルト、スキムミルク(脱脂粉乳)
魚介類
わかさぎやいわしなどの小魚、サクラエビ、しらす、シジミ
大豆製品
豆腐、納豆、高野豆腐、厚揚げ、大豆
野菜・海藻類
小松菜、ちんげん菜、菜の花、だいこん葉など緑の多い野菜、切り干し大根、ひじき、わかめ
効果的な摂り方とは?
カルシウムは摂ったぶんだけ身体に吸収されるわけではありません。食品によって吸収率が異なるといわれ、牛乳・乳製品では50%、魚介類では30%、大豆製品・野菜では20%ほどといわれています。吸収率の良い牛乳や乳製品は積極的にとりたい食品ですが、では吸収率の低い食品はおすすめできないのかというと、そうではありません。大豆製品や野菜・海藻、魚介類は日本の食卓になじみ深く、毎日無理なく摂りつづけられるというメリットがあります。毎日のお味噌汁にわかめや豆腐を入れる、切り干し大根やひじきで常備菜をつくる、小松菜などの緑黄色野菜を和え物にするなど、カルシウムを無理なく摂れる食生活づくりに生かしたいですね。
一緒に摂ると吸収を助けてくれる栄養素もご紹介しましょう。
①一緒に摂りたい栄養素
ビタミンD
きくらげや干し椎茸、しめじなどのきのこ類、鮭やさんま、いわしなどの魚介類
マグネシウム
大豆製品、アーモンドやピーナッツなどのナッツ類、ひじき、さつまいもなど
他にも、ビタミンCやクエン酸はカルシウムの吸収を助けます。野菜や果物に豊富に含まれますが、ビタミンCは水に溶ける性質があるので汁ごと食べられるスープ類にするのがおすすめです。果物は缶詰やシロップ漬けよりも生で食べられるフレッシュなものを選びましょう。他にも、カルシウムが体内から損失するのを防ぐ栄養素としてビタミンKやイソフラボンがあります。
ビタミンK
小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなどの野菜、ひじき、納豆など
イソフラボン
大豆製品
こうしてみると、魚介類や大豆製品、緑黄色野菜、海藻類は、カルシウムを多く含むだけでなく吸収・維持に必要なビタミン類を同時に摂れることがわかりますね。
②避けた方がよいもの
カルシウムの吸収を妨げたり、身体の外に排泄してしまったりするものとしては、たばこ、アルコール、食塩、リン、カフェインなどがあります。食塩は濃い味つけの汁物に多いので、だしを利かせて調味料を控えましょう。リンはスナック菓子やインスタント食品に多く含まれるので、ついつい食べる機会が多くなってしまうという方は気をつけましょう。
③適度な運動が効果的
カルシウム貯金を増やすには、軽い運動をするのがおすすめです。負荷をかけることでカルシウムが骨に定着しやすくなるといわれています。スポーツだけでなく家事や仕事で身体を動かすだけでも効果的です。少しくらいの距離なら、乗り物を使わず歩く習慣を身につけると良いですね。ただし過度の運動は逆効果なので、ほどほどを心がけましょう。
まとめ
骨となって身体を支えるだけでなく、日々生きていくために必要な栄養素であるカルシウム。健康に年齢を重ねられるように、毎日無理なく摂れる食生活づくりをはじめてみましょう。