私たちの心臓の筋肉は、電気信号によって規則正しく収縮と弛緩(しかん)を繰り返し、血液を送り出しています。何らかの理由で、発電異常や電気信号に乱れが生じ、心臓の拍動のリズムが一時的に不規則になります。それが脈の乱れの不整脈となってあらわれます。
不整脈の原因
季節の変わり目は疲れやストレスがたまり体調を崩しやすい時期です。そういった時期に注意したいのが不整脈です。不整脈が見つかると、ほとんどの人は心臓の病気で起きるものだと心配されますが心筋梗塞や狭心症は心臓の血管の病気で、不整脈は心臓の電気系統の故障ですから基本的には別の病気です。不整脈の原因として最も多いのが、加齢、体質的なもの、疲労やストレスの蓄積、睡眠不足で、他には高血圧や肺に疾患がある人、甲状腺に異常がある人も出やすい傾向にあります。つまり不整脈の多くは心臓病には関係しないものです。しかし、すでに心臓病の疾患がある方は二次的に不整脈が出やすくなるのも事実です。健康診断なので不整脈が見つかった場合は、担当医から説明をよく聞いて適切な対処をしましょう。
不整脈の種類と症状
①頻脈(ひんみゃく)
通常より拍動が異常に早くなるタイプで「頻拍」と「細動」の2つに分けられ、脈拍数の増加に伴ってドキドキという動悸や胸の痛み、さらに激しくなると、めまい、冷や汗、吐き気など伴い、時には失神などの症状が起こります。「頻拍」は脈が1分間に100回以上になる不整脈で、「細動」は電気信号が1分間に250回以上送られますが、信号が速過ぎて心臓の働きが追いつかず、拍動が不規則で弱くなるものです。心房に細動が起こる「心房細動」は一部の人では心房の中に血の塊(血栓)が出来やすくなり、それが脳にいくことで、脳梗塞を起こす危険性があり、心室に細動が起こる「※心室細動」は突然死に繋がり、不整脈の中でもっとも危険な不整脈です。※心室細動(しんしつさいどう)は心臓の心室が小刻みに震えて、全身に血液を送ることができない状態です。
②徐脈(じょみゃく)
通常より拍動がかなり遅くなったり、極端に間隔が長くなったりするタイプで、1分間の脈拍が50回未満だと「徐脈」と診断されます。原因は主に「洞不全(どうふぜん)症候群」と「房室ブロック」の2つがあります。
「洞不全(どうふぜん)症候群」は心臓の収縮の命令を出している洞房結節(どうぼうけっせつ)に異常を生じて、命令を出す回数が極端に少なくなったり、命令が出なくなった状態をいいます。「房室ブロック」は房室結節と呼ばれる収縮の命令の受け渡しをしている部分の細胞に支障が生じて、心室という血液を送り出す部屋へ収縮の命令が上手く伝わらなくなった状態をいいます。
徐脈の症状としては、動くと激しい息切れやだるさ、失神・めまいなどが起こります。心臓の拍動が回復しない場合には突然死することもあります。
③期外収縮(きがいしゅうしゅく)
正常な拍動の間に時々拍動が一瞬とんだり、リズムが乱れて、不規則な打ち方をするタイプです。ほとんどの場合は心配いりませんが、拍動100回のうち10回以上など、不規則な打ち方が顕著に起こる場合は、治療が必要になることがあります。期外収縮の症状としては動悸、胸の不快感などです。
※こちらの記事では脈拍(動脈)ではなく、拍動(心臓)と記載しています。
心臓の電気信号の流れ
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をしていますが、このリズムを作っているのは右心房にある「洞房結節(どうぼうけっせつ)」という部位から発生する電気信号です。その電気信号は、刺激伝導系と呼ばれる心臓内に張り巡らされた電気の回路を通って伝わっていきます。洞房結節で作られた電気信号は心房を収縮させたのち、心臓中央部にある「房室結節(ぼうしつけっせつ)」を経て左右の心室に伝えられ、心室の筋肉を収縮させます。
不整脈の誘発を防ぐには
原因不明の不整脈にはストレスが誘因になっているケースがよくあります。自律神経の乱れはそのまま、心臓のリズムに乱れが生じやすくなります。忙しさによる疲労や睡眠不足、食生活の乱れも身体には大きなストレスとなります。当サイトの「自律神経が乱れる原因と予防法について」の記事を参考にして、不整脈の誘発を防ぎましょう。