LIFE DOOR

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食器で変わる高齢者の自力摂取

高齢になるに連れ、食が細くなる、よくむせるなど、食事をする事に対しての問題点が多数現れます。これは、自然な事であり、誰もがいずれ、経験する事です。高齢者施設では、自分で食べる事が困難になった方に、あらゆる方法を試していることかと思います。ここでは、普段の食事に使う食器に注目し、自力摂取の低下改善に役立てて頂けたらと思います。

自力摂取をスプーンで改善

まず、自力摂取が困難になるということは、食べたいという意思はあっても、自らの意志で、口に食事を運ぶ事ができない、うまく飲み込めない状態を言います。箸を使用する事が難しくなる為、スプーンを使用する事が基本となります。通常の小から中スプーンを使用しますが、くぼみが深いものより、浅くて平らに近いものを選びます。これは、口に入れた時に、食べ物が食べやすいからです。スプーンを持つ事ができない場合は、スプーンの柄を、持ちやすい様に曲げてしまいます。手で握る事が困難な時は、スプーンの柄を延長する様に、柄に安全な棒の様なものを固定し、さらに、腕に簡単に装着できる様にスプーンを作り替えます。市販で、自助具と呼ばれる食事の手助けをするスプーンなどが売られていますので、それらを使用しても良いかと思います。

自力摂取を食器で改善

食器は、通常のものを使う場合、お椀のように深いものは、スプーンですくいにくい為、やや浅めのものを選んでください。また、丸い食器も、滑ってすくいにくい為、角のある食器を選びます。しかし、通常の食器ですと、スプーンで食物をすくった時に、食器の外に逃げてしまいます。よって、食器は、自助食器を使う事をお勧めします。

市販の自助食器について

自助食器というものが市販でも売られていますが、専門で取り扱うところですと、様々な種類の食器があります。自助食器は、全て、使いやすい様に特別に作られたものなので、どれを使っても同じと思われがちですが、主食の食器に関しては、黒色の食器をお勧めします。現在は、自助食器が少なかった頃に比べ、黒色や、色付きの食器が増えてきています。主食は、ごはん、パン、麺など、白色の食物が多く、視力も低下しつつある高齢者には、白い食器に白い食物は、たいへん見えづらくなってきます。主食がある事に気付かず、食べ残し、コミュニケーション能力の低下により、“もう食べられない”と、他者に認識され、残食がふえることによる体重の減少が起こってきます。なによりも、食べる人に、しっかり見える食事でなくてはなりません。主食を黒色の食器に替えた事で、食事の摂取量が増加し、自分で進んで食べられる様になった方も少なくありません。自助食器には、滑り止めが付いていますが、通常の食器を使用する場合は、滑り止めマットや、滑り止め付きのお盆を使用して下さい。

まとめ

食器の工夫だけでも、自ら食事を摂る事が可能になる場合があります。“食べやすい食事”を提供し、生涯、自分で食べられる方が増えていってほしいと願います。