自律神経とは、自分の意思とは無関係に「自立」して心臓や胃腸、血管、内分泌腺、汗腺などの内臓を支配しその機能を調節している24時間、働く神経のことです。例えでは、夜寝ているあいだ、息をしようととくに考えなくても自然に息をしています。また運動して体温が上がったときに、汗をかいたりして体温を一定に保つのもこの神経のはたらきです。今回はこの自律神経が乱される原因と、予防法、対処法についてご紹介します。
自律神経とは
自律神経は、自分の意思とは無関係に「自立」して心臓や胃腸、血管、内分泌腺、汗腺などの内臓を支配しその機能を調節しています。例えでは、夜寝ているあいだ、息をしようととくに考えなくても自然に息をしています。また運動して体温が上がったときに、汗をかいたりして体温を一定に保つのもこの神経のはたらきです。そして、この自律神経は、反対のはたらきをもつ2つの神経でつくられています。それが、交感神経(こうかんしんけい)と副交感神経(ふくこうかんしんけい)です。両方の神経が、各器官を、その機能の恒常性(こうじょうせい)を保つように制御しています。この恒常性もまたホメオスタシスと言います。
1.交感神経とは
体の活動時や日中に活発する臓器です。その他にも以下のようなときに活発に働きます。
- 緊張している時
- 興奮している時
- ストレスが感じている時
などに強く働きます。交感神経は車で言うとのアクセルの役目を果たしています。
2.副交感神経
夜間寝ている間に活発に働く神経です。その他にも以下のようなときに活発に働きます。
- リラックスしている時
- 休息している時など
- ストレスが感じている時
などに強く働きます。副交感神経は車のブレーキとしての役目を果たしています。
自律神経の乱れの原因
自律神経の乱れはストレスや心理的要因が大きな影響をあたえています。自律神経は日常生活のさまざまなストレスに対して、日々バランスをとっています。ところがストレスによる刺激が一定の限度を超え、あまり長く続くと、交感神経と副交感神経のバランスつまり自律神経のバランスが乱れます。自律神経の動きが乱れると、心拍の増加や血圧の上昇、筋肉の緊張など、体の器官にさまざまな不調が現れてきます。
2.日常生活から考えられる原因
心労的、身体的なストレス
対人関係、仕事の悩みや、自然災害や格差による社会生活などの困難によって生ずる歪みの蓄積、他人の言動などによる情緒的、精神的刺激。怒り、焦り、不安、恐れ、憎しみ、緊張などによる心労的ストレス、過労、事故、怪我、転勤、昼夜交代制の仕事、深夜の勉強さらには騒音、振動、気温差なども身体的ストレスとなります。そのストレスが過剰になると交感神経と副交感神経のバランスが崩れ自律神経のバランスが乱れます。
不規則な生活
暴飲暴食、過度なダイエット、慢性的な睡眠不足、昼夜逆転生活、不規則な食生活などを続けると体内時計が狂い、生体リズムの調節が難しくなり自律神経のバランスを崩す原因になります。
自律神経の乱れによって引き起こされやすい疾患
1.自律神経失調症
自律神経が乱れると、身体機能の調整や制御が聞きづらくなることで引き起こされます。その症状が悪化すると心や体に不調があらわれた状態です。
自律神経失調症になると、さまざまな症状が現れます。慢性的な疲労、だるさ、めまい、偏頭痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、下痢、微熱、耳鳴り、手足のしびれ、口やのどの不快感、頻尿、残尿感。
精神的な症状ではイライラ、不安感、疎外感、落ち込み、やる気が出ない、憂鬱になる、感情の起伏が激しくなる、焦りを感じるなど症状は色々です。
出る症状が人によって違うように、その原因もまた人によって違います。
2.更年期障害
個人差はありますが女性は50歳前後の年齢で閉経を迎え、この閉経の時期をはさんだ前後10年間(一般的に45歳~55歳ごろ)を更年期といいます。年齢を重ねるごとに卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が急激に減ることでホルモンのバランスが崩れ、心身ともにさまざまな不調があらわれます。但し、女性ホルモンの減少だけではなく、心理的な要因も複雑に関与するために出る症状も人によって違うようです。主な更年期の症状として肩こり、疲れやすい、頭痛、のぼせ、腰痛、汗をかくなど。
3.神経性胃炎
精神的なストレス、その人の性格、過労が原因となる胃炎です。
ストレスや不規則な生活習慣によって自律神経のバランスが崩れて、胃酸が過剰に分泌されてしまい、胸やけ、腹部膨満感、食欲不振、夜間や空腹時に胃が痛むなどの症状が出てしまいます。
4.メニエール病
ストレス、睡眠不足、疲労、気圧の変化、几帳面な性格などが原因で内耳のリンパ液に異常が生じることで、めまい(グルグル回転する激しいものからふわふわ雲の上を歩いている感じのものまで様々です)とどちらか片耳だけの耳鳴り、そして難聴の3つの症状が同時に起き、強い吐き気や嘔吐に悩まされる方が多く、放置すると耳鳴りと難聴が進行するため、気をつけたい疾患です。
5.過換気症候群(過呼吸症候群)
過剰な精神的ストレス(不安が高まるような出来事)をきっかけに突然呼吸の回数が増え、動機や酸欠のような息苦しさを感じ心理的パニック状態に陥ります。出入りする空気が増えすぎてしまうため、血液中の二酸化炭素が過度に減少することで、めまい、手足のしびれや筋肉のこわばりなどが生じます。一度経験するとまた起きるのではないかという不安が襲って症状が頻繁に出る場合があります。生活に支障がでるようであれば精神科や心療内科の受診をお勧めします。
6.過敏性腸症候群
ストレスに伴う自律神経の異常によって、腸のぜん動運動に障害をきたし慢性的な腹痛を伴う下痢、便秘などの症状が出る疾患が過敏性腸症候群です。下痢と便秘が交互に起こるケースもあります。また何週間も下痢が続いた後、一時的に治ったかと思えばまた再発したという症状を繰返してしまうこともあります。検査をしても胃腸に原因となる病気などの異常が見つからないという特徴があります。ストレスが蔓延する社会環境となり、その数が急増しているとされています。
日常生活での予防法
1.ストレスとうまくつきあう
現代の社会生活においてストレスはつきものだと日常的に経験していますし、生きている限り人間にとってストレスは避けて通れないものだという意識が必要だと思います。自分なりに工夫してストレスをやわらげる考え方や行動習慣を身につけましょう。他人の言動や行動に流されない自分にしましょう。また他の誰かの意見を求めるのも良いでしょう。視点を変えたり、自分とは違う価値観で出来事をとらえたりすることができるはずです。
2.心身をリラックスさせる
アロマテラピー
エッセンシャルオイルの香りを嗅ぐだけでリラックスの効果が高い方法です。香りによっても効果も違うので自分の体調や好みの香りを探して試してみてください。
瞑想をする
精神修養の一つである瞑想は短時間でリラックスができる方法としても注目されています。背筋を伸ばし全身の力みを抜いて体の中の悪い空気を口から全て吐き出すイメージで呼吸をすることにより自然とリラックスができます。時間は15分程度で試せるリラックス方法です。
音楽を聴く
自分にとって心地の良い音楽はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑える効果があり、気持ちが落ち着き、体をリラックスさせることができます。
3.健康的なライフスタイルを心がける
ごく当たり前のことですが、栄養バランスの良い食生活にして食べ過ぎない、適度な休養、運動をして質の良い睡眠をとり不規則な生活を改めて、生活のリズムを正常にするように心がける。仕事と遊びのメリハリをつける。自分の好きな趣味を楽しむことも大切です。
4.健康的なライフスタイルを心がける
ストレスを軽減してくれる栄養素をとる
5.ストレスを軽減してくれる栄養素をとる
カルシウム
よく「カルシウムが足りないとイライラする」といいますが、血液中のカルシウム濃度が低下する病気で、情緒不安定、集中困難といった精神症状(イライラ、といっても良いでしょう)が起きることは医学的にも認められています。ところが、このような病気は、ホルモンの病気(副甲状腺機能低下症)やビタミンD 欠乏症で起きるもので、近年ではカルシウム摂取の不足によって起きるものではないと言われるようになっています。直接ストレスにかかわってなくても骨や歯の形成に必要な栄養素なので適正な量を摂取したほうが良いと思います。
マグネシウム
神経の伝達を正常に保ち、興奮を抑えストレスを緩和し、精神状態を安定させる働きがあります。牡蠣、ホタテ、納豆、ゴマ、ピーナッツ、ほうれん草などに含まれています。
ビタミンC
体はストレスを受けるとそれに対抗するホルモンを分泌して、抵抗力を強める働きがあります。そのホルモンを育生するのに不可欠なビタミンCですがストレスを受けるとビタミンCの量がかなり減ってしまうので、日々積極的に摂ることが必要です。ビタミンCはキウイ、柿、イチゴ、みかん、ブロッコリー、小松菜、ピーマンなどに含まれています。
ビタミンB1
ビタミンB1が不足すると精神的な能力の低下、イライラ、不眠の原因となることがわかっています。ビタミンB1は脳内物質の代謝をよくし、情緒を安定させるためには欠かせないものです。ビタミンB1は玄米、胚芽米、麦、うなぎ、豚肉、レバー、たらこ、ピーナッツ、小豆、ソラマメなどの豆類、しいたけ、ニンニクなど硫化アリルを含む食品といっしょにとることでビタミンB1の吸収を高めます。硫化アリルはネギ、玉ねぎ、ニンニク、ニラなどに含まれています。
定期的にストレス度チェックをする
スマホでストレス度を測れるアプリがありますので自分のストレス状態を把握すれば、いち早くストレス対策ができるのではないでしょうか。
自覚症状が出てきたときには・・・
自律神経の乱れは、初期段階であれば治療やセルフケアにより正常に戻りやすいとされていますが、放置していると症状がさらに悪化して、ほかの疾患へと発展するリスクがあるため、体調不良が長期間続く場合は早期に専門病院で治療やケアを開始することが重要です。自律神経系疾患の治療効果の現れ方には個人差があるため、改善に要する期間も人により異なります。さまざまな治療法やケア方法がありますが、効果のある方法も人それぞれ異なるため、役に立ちそうな方法を試しながら効果のある方法を見つけていく必要があります。一般に神経の不調の改善には時間がかかるとされており、数ヶ月で改善するケースもあれば、数年かかるケースもあります。一進一退をたどりながら改善していくことが多いとされているため、長期間かけて治すつもりで焦らずに臨むとよいでしょう。
心の不調に効く「瞑想・マインドフルネス」
マインドフルネスはメディアでも大きく紹介され、取り入れる企業も増えているので一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。マインドフルネスとは、「『今この瞬間』に集中し、評価を下さず、ただ観る」行為や状態を意味します。