LIFE DOOR

LIFE DOOR

心筋梗塞の原因と予防について

心筋梗塞は、動脈硬化が進行し、心臓を養う冠(かん)動脈が詰まり、詰まった血管の周囲にある心臓の筋肉が壊死(えし)してしまう病気で、急性心筋梗塞では約30%の人が死亡しており、その多くが発症後、短時間に死亡した、命に係わる病気の1つです。

心筋梗塞の原因と症状

心臓は、1日に約10万回、生涯休みなく、血液を全身に送るポンプの働きをしています。ポンプとして働くために、心臓の筋肉(心筋)自身も、酸素や栄養を必要としています。その血液を供給するのが、心臓があたかも冠をかぶったかのように表面を流れている「冠動脈」と呼ばれる血管です。加齢や不規則な生活をするにつれ、この冠動脈の血管壁が硬くなる「動脈硬化」が進んで、血管の内腔が完全に詰まり血液(酸素)が流れない状態(酸素欠乏)になり心臓の筋肉の一部が壊死をします。原因になる動脈硬化は、加齢、高血圧症や高コレステロール血症、糖尿病、肥満などの生活習慣病のほか運動不足や脂肪の多い食事、喫煙等の生活習慣、ストレスなども関係しています。

動脈硬化とは

血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)は数が増えると酸化しやすく、血管壁に脂質として大量にたまります。これはマクロファージという免疫系食細胞がコレステロールを貪食(どんしょく)して処理をし、『プラーク』と呼ばれるこぶを作ることです。プラークは血管内を狭くし、血管壁を硬くします。動脈硬化は加齢とともにゆっくりと進行するため、発症のピークは60代、70代がピークといわれてました。しかし食の欧米化、ライフスタイルの変化にともない、40代、50代の発症が増えています。また20代や30代といった若年層の場合も症例があるということです。女性の場合の発症リスクは閉経後女性ホルモンの分泌が減ると、総コレステロール値やLDLコレステロール値が上がる傾向にあり、動脈硬化を起こしやすくなります。

心筋梗塞の発症

プラークが大きくなると、プラークを被う血管内膜が薄く、もろくなります。そこに高血圧やストレスなどの要因が加わると、傷ついたり、破れたりします。その部分を修復するために血小板が集まりプラークの表面に血栓が出来ます。プラークの被膜が破れて出来た血栓が、血管の内腔を完全に詰まらせた状態が続くとその部位より先の心筋は壊死(えし)し、この部分は動かなくなってしまいます。心筋には再生機能がないため、死んでしまった心筋の部分は、元には戻らず収縮機能を失ったまま心筋は薄くなります。心筋梗塞の範囲が小さければ、心臓全体の収縮する力は保たれますが、範囲が大きければ収縮する力は低下し、心不全をきたします。心筋梗塞はなんの前触れもなく発症することが多いため、突然の発作に備えることが大事です。発作が起こったら、すぐに救急病院へ搬送するようにします。3時間以内に、できるだけ早く冠動脈の血流を再開させ治療をおこなえば、救命率は高くなり、早期に日常の生活に戻れます。現在はカテーテル治療やバイパス手術など治療法が進み、死亡率は1~2%と、以前より少なくなっています。早期発見で早期治療です。

心筋梗塞の症状

  • 胸が締めつけられる強烈な痛みが続く。
  • 呼吸困難や吐き気、冷や汗がひどくなり、意識を失うこともある。
  • 安静の状態で、30分以上発作が続く。
  • 安静または薬の使用で発作が改善しない。

「30分以上発作が続く」「薬を使っても発作が改善しない」「意識が遠のく」「いつもより痛みが強い」などの場合は、心筋梗塞(急性心筋梗塞)の可能性があるため、早急に救急車を手配してもらいましょう。

心筋梗塞の予防

心疾患の患者数が多い欧米では早くから食事との関係が重視され、その研究は続けられてきました。その中でもグリーランドなど北方の地域に住むイヌイットの人々の食生活でした。鯨、魚やセイウチ、アザラシなどを多く食べるイヌイットには、急性心筋梗塞を起こす人が非常に少なく、血液中の脂肪分には、青魚類に豊富に含まれるDHAやEPAが多いことがわかりDHA、EPAは心筋梗塞の予防に効果があると注目されました。一方日本では2006年に厚生労働省の研究班が「魚食と心疾患との関係」についての報告を発表しています。この調査から、日本人の場合も「魚類を多く食べると心筋梗塞の予防効果がある」ことと「その主役がDHAとEPAである可能性が高い」ことが判明したのです。(なおサプリメントによる効果は検討されていません)昔は魚や鯨を良く食べていたはずの日本では、心疾患の死亡者数の推移をみると、脳血管疾患は減少傾向にあるのに対し、心疾患は一時的に減少することはあっても、全体として増加傾向にあります。その背景には、肉類など脂肪分の多い食事が日常化し、逆に鯨や魚を食べる人が減っていることが指摘されています。今一度日本の伝統的な食文化を見直してはいかがでしょうか。

青魚を食べる

肉食が多い人はDHA・EPAを多く含む青魚や鯨を週3~4回食べるように替えていく。

カルシウムを含む食材を摂取する

カルシウムが不足すると血液中の血栓ができやすくなることから、カルシウムが豊富に含まれる、切干大根、納豆、豆腐、ひじき、昆布を摂取する。納豆には血栓を溶か働きがある酵素ナットウキナーゼが含まれています。

カリウムを含む食材を摂取する

カリウムはナトリウムと一緒になって心臓の筋肉を動かす電気信号を生出し、働きの調整をする栄養素です。バナナ、トマト、かぼちゃ、里芋、大豆などに豊富に含まれています。
トマトに含まれるリコピンはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の増加を抑えます。

食物繊維を含む食材を摂取する

食物繊維は心筋梗塞のきっかけとなる血管の炎症を抑える効果があります。コンニャク、ごぼう、海藻類、さつま芋、里芋、きのこ類に含まれています。

その他、毎日の生活の中に適度な運動を取り入れましょう。運動を続けることで、肥満をはじめとしたすべての生活習慣病の改善につながります。職場や市町村の健康診断は定期的に受けましょう。