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乳腺疾患の主な病気と症状について

2020.02.02
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INTRODUCTION

女性の病気といえば婦人科を思い浮かべる方が多いと思います。では乳房に違和感がある場合は婦人科を受診したらよいのでしょうか?答えはいいえです。乳腺外科を受診して下さい。実は、乳房の病気になって初めて乳腺外科の存在を知る方が意外と多いようです。今回は乳腺疾患の主な病気を解説をしていきます。

乳房の構造と乳腺の役割

乳房は、乳汁を分泌する乳腺組織と、その周りを埋める脂肪組織などからなり、「大胸筋」という胸の筋肉で支えられています。乳腺組織は、15~20の「腺葉」に分かれています。腺葉は多数の「小葉」に枝分かれしており、ここで乳汁が作られます。そして、小葉からは乳汁を乳頭に運ぶための細い「乳管」が出ており、これらが少しずつ合流し、1本の乳管となって乳頭に出ます。乳腺は母乳をつくり、新生児、乳児への栄養や免疫機能を与える重要な組織です。乳腺組織は胎児期の5週目ごろより作られ始めますが、女性では1012歳になると女性ホルモンの分泌が高まり、乳腺組織は成人型に成熟し始めます。閉経とともに女性ホルモンの分泌が減り、乳腺組織は脂肪組織へと変化していきます。

乳腺症

乳腺症とは

乳房の腫れもの、炎症、疼痛(とうつう)または乳頭からの分泌物などの症状を、主要な症状とする乳腺良性疾患の病名です。主症状の多くは自然軽快するので心配はいりません。正常な乳腺の細胞は、成長や、月経周期、加齢など、女性ホルモンの変化に反応して、発達したり縮小したりして常に変化しています。乳腺症というのは、その変化が強く現れた状態です。乳がん以外の乳房の病気の中で最もよくみられる病気です。早い人は20歳代から始まり、30~40歳代にもっとも多くみられます。

原因

卵巣ホルモン(エストロゲン)の不均衡が影響していると考えられています

症状

乳房の痛み張り、乳腺が硬く触れる、違和感、乳頭分泌などの症状が現れます。しこりのようなものは、実際は乳腺症変化をともなった乳腺組織そのものですが、月経前は症状が強くなり大きさや硬さが増すこともあります。乳房の痛みも1ヶ月の間に増減し、突然始まったり、突然消失します。月経が終わると症状は和らいでいきますが、ごく稀に乳腺症で硬くなった乳腺の中にがんが隠れている可能性もありますので、症状を自覚したら乳腺外科を受診して下さい。

 

乳腺嚢胞

乳腺嚢胞(のうほう)とは

乳腺組織の一部が袋状になり、中に水がたまった状態をいいます。女性ホルモンの分泌が安定したり、閉経後に女性ホルモンの分泌が低下してくると自然に消えていくということです。基本的に治療の必要はありません。また、一般にがん化する心配もありませんが、乳腺外科を受診して検査で良性の乳腺嚢胞と確定診断をしてもらうことが大切です。なぜなら嚢胞内にしこりがある場合や、超音波検査の際に「腫瘍性病変(しゅようせいびょうへん)がある」と指摘された場合は、頻度は少ないものの、嚢胞内がんの可能性があるからです。この場合は、嚢胞内に溜まった水分を採取し、がん細胞の有無を調べる細胞の検査をおこなう必要があります。

原因

乳腺症が1つの原因と考えられています。

症状

乳房内にしこりのようなものができたり、圧迫されたような痛みを感じたりすることがあります。

乳腺炎

乳腺炎とは

乳腺炎は、乳腺に炎症や細菌感染を起こし、乳房が赤く腫れたり、痛みや熱感を伴う状態です。一般的に18才~50才に多く起こりますが、授乳期におこる授乳期感染症と、授乳と関係のない時期に発症する非授乳性感染症に分けられます。

うっ滞性乳腺炎

授乳期に乳汁が乳腺内にたまって起こります。乳房が腫れて硬くなリ、触ると痛みがあります。乳房マッーサージで、乳腺内に溜まった乳汁を出すことにより大抵は軽快するようです。ところが乳腺炎と自己判断していたら、実は乳がんだった実例もあるため、乳房のマッサージをしても乳腺炎が治まらない場合は、乳腺外科を受診しましょう。

化膿性乳腺炎

うっ滞性乳腺炎の状態から、乳頭に細菌が入って炎症が起こります。うっ滞性乳腺炎よりも症状はさらに強く、乳房が赤く腫れ上がって激しく痛み、高熱が出ます。早急に乳腺外科を受診して下さい。化膿性乳腺炎は抗生物質や消炎剤で治療します。膿がひどくたまっている場合には、皮膚を切開して膿を出す処置が必要なこともあります。

注意を要する乳腺炎

授乳期以外に、乳腺炎と同じような症状があらわれた場合には注意が必要です。特殊なタイプの炎症性乳がんの可能性がありますので、乳腺外科を受診して下さい。

線維腺腫

線維腺腫とは

代表的な乳腺の良性腫瘍であり、線維腺腫は、境界がはっきりして弾力性のあるクリクリとよく動く手に触れやすいしこりです。15~30歳代の比較的若い女性に多く見られます。多くは単発ですが、複数出来ることや両側にできることもあります。良性腫瘍で、がん化することはほとんどありませんが、乳腺外科を受診して検査で良性の線維腺腫と確定診断をしてもらうことが大切で、そうすることで気持ちに余裕ができます。その後は、乳腺外科で定期的に検査を受けて経過を観察します。

特徴

通常は2~3cmになるとその増殖は止まり、16~59%は自然退縮していきます。自然退縮しなかった約5%だけが増大します。大きさは2~3cmぐらいが一般的ですが、まれに5cmくらいの大きさになることもあります。年齢を重ねてホルモンの分泌状態が変わると自然に消えてしまうことも珍しくありません。

原因

経口避妊薬、妊娠、他のホルモンの刺激の影響を受けてサイズが増大する傾向があるようです。線維腺腫は女性ホルモンの影響で形成されると考えられています。

巨大線維腺腫とは

10cm以上の線維腺腫で、線維腺腫の0.5~2%を占め、若年性線維腺腫とも呼ばれています。急速に成長しますが、通常は無痛性です。治療は外科的切除が基本です。

葉状腫瘍

葉状腫瘍とは

葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)は、20~30歳代の若い女性にしばしば見られる良性の腫瘍です。比較的柔らかい腫瘍で、しこりはコロコロしており、指で押さえると動きます。線維腺腫に似ていますが、急に大きくなるのが特徴で、20cmを超える大きさになることもあります。90%は良性ですが、乳腺外科を受診して検査で良性の葉状腫瘍と確定診断をしてもらうことが大切です。なぜなら、なかには悪性化のもの、あるいは良性物が再発を繰り返すうちに悪性化するものがあるからです。葉状腫瘍は診断がついた時点で、手術で切除するのが基本です。手術後は経過観察が必要になります。なお、葉状腫瘍の明らかな発症原因やリスク因子はわかっていません。

乳腺疾患の検査

まずは医師による視触診、マンモグラフィ(乳房専用のX線撮影装置)、乳房超音波検査(エコー)が通常です。必要に応じて、更にMRI検査や、しこりから細胞を採る検査を行って顕微鏡レベルで病理診断を行います。画像の経過観察のみで様子をみることもあります。

終わりに・・・

乳がん以外にも乳房には様々な病気があることがわかりましたでしょうか。もし乳房にしこり、痛み、張り、違和感、乳頭の分泌物などの自覚があれば、早急に乳腺外科がある医療機関を受診することが大切です。

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