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前立腺肥大症の原因と対策について

2019.12.24
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INTRODUCTION

最近何度もトイレに行く回数が多くなった、トイレ後尿意が残る…中高年になると、こうした排尿の悩みが多くなります。そういう症状があれば男性の場合、前立腺肥大症の可能性があります。今回は前立腺肥大症について解説します。

前立腺肥大症とは

前立腺は男性だけにある臓器で、精液の一部を作るほか、排尿をコントロールする役目があります。前立腺は尿道を取り囲む位置にあるため、なんらかの理由で前立腺が肥大化すると尿道が狭くなり、排尿に関わる色んな障害が起こります。前立腺は正常な場合はクルミ大ですが、テニスボールほどの大きさになることもあります。前立腺肥大症に悩む男性の数は、年齢とともに高くなり、50歳を過ぎてから増加し、50歳以上の男性の5人に1人が前立腺肥大症であると推定されています。

前立腺肥大症の原因とは

前立腺が肥大する原因はまだはっきりとは解明されていませんが、男性ホルモンの一種アンドロゲンが加齢によって減少すると、不足したアンドロゲンを取り込もうとして前立腺が肥大化するのではないかと推測されています。また加齢も前立腺肥大症を発症する要因といわれています。そのため男性の場合、前立腺肥大症は加齢にともなってだれにでも起こりうる病気だといえます。その他に肥満、高血圧、高血糖および脂質異常症と前立腺肥大症の関係が指摘されています。

前立腺肥大症の症状とは

前立腺肥大症の主な症状

前立腺肥大症の症状は、頻尿や尿意切迫感といった蓄尿症状、尿の勢いが弱い、途中で途切れるなどの排尿症状、残尿感がある、尿の切れが悪いといった排尿後症状の3つに分類されます。

初期の主な症状(膀胱刺激期)

初期の症状については以下のようなものになります。

  • 尿の勢いがよくない(尿勢低下)
  • 尿が途中で途切れる(尿線途絶)
  • 排尿後、まだ尿が残っている感じがする(残尿感)

これらの症状は、前立腺肥大の初期症状であり、肥大した前立腺が膀胱や尿道を刺激することにより起こります。受診のきっかけにしましょう。

中期の主な症状(残尿発生期)

中期の症状については以下のようなものになります。

  • お腹に力を入れないと尿が出にくい(腹圧排尿)
  • トイレの回数が多い(頻尿)
  • 夜中に何度もトイレにいく(夜間頻尿)

これらの症状は、肥大した前立腺により尿道が圧迫され細かくなることが原因と考えられます。症状が進むとおしっこを全て出し切ることが出来なくなり、膀胱におしっこが残った状態(残尿)になります。一般に正常な排尿回数は、起きている時間帯で4~6回程度、夜間(睡眠中)は0~1回程度(多くても2回)とされています。急に寒くなった日や、薬の影響などで排尿回数が増えることはありますが、起きている時間帯に8回以上、あるいは夜間に2回以上行くようになったら要注意です。

後期の症状(慢性閉塞期)

後期の症状については以下のようなものになります。

  • 急に尿意を感じると我慢できない(尿意切迫感)

日常生活に大きな支障をきたします。自分ではコントロールできない状態なので、早く受診する必要があります。

前立腺肥大症の進行と合併症とは

前立腺の肥大は、年齢とともに大きくなり続ける傾向があります。そのため、前立腺肥大症を放置すると、症状が軽くなるどころか、徐々に悪くなっていきます。前立腺肥大症が進行すると次のような様々な合併症を引き起こすことがあります。

尿閉

排尿がほとんどできなくなった状態です。膀胱が尿で満杯になり、強い尿意があっても排尿ができない状態になります。尿を出すために、尿道から膀胱まで細い管を通し、膀胱内の尿を排出させる「導尿(どうにょう)」が必要になります。

肉眼的血尿

前立腺肥大のために、尿道粘膜の充血が起こり、前立腺部の尿道粘膜から出血して、血尿が出やすくなります。

尿路感染

尿のなかで細菌は繁殖しやすく、膀胱に尿がたまった状態では尿路感染が起こりやすくなります。

膀胱結石

膀胱内に常に残尿がある状態が長期間続くと、尿の成分が石のように固まる「結石」も起こりやすくなります。

膀胱機能低下

膀胱が常に広がった状態が続き、膀胱が尿を出すために縮もうとする力も弱くなって、ますます症状が悪化する場合があります。

腎機能低下

尿が出にくくなって膀胱が満杯の状態が続いたり、排尿障害のために膀胱壁が厚くなると、尿を作っている腎臓にも負荷がかかり、腎機能の低下を引き起こす場合があります。

溢流性尿失禁

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁は、膀胱内に常に多量の残尿がたまるために、膀胱内にそれ以上尿が貯められなくなり、尿道から尿が溢れ出て、いつも尿がちょろちょろと漏れる状態を言います。

前立腺肥大症の予防とは

メタボリックシンドロームは前立腺肥大症を発症する危険な要素であることが示されています。そのため運動や食生活の改善を基本に予防しましょう。

運動

長時間座ったままの体勢でいると、前立腺に負担をかけてしまいます。1日30分程度のウォーキングや、家の中で軽くストレッチを行うなどの運動習慣を身につけましょう。

 水分摂取

頻尿が不安で水分の摂取を控える人がいますが、前立腺肥大症のためには、適度な水分摂取が効果的です。また水分不足は腎機能低下のリスクを高めます。尿路感染や尿路結石の原因にもなるため、日中は適度な水分補給を心がけましょう。

入浴

体を冷やすことはあまり良くありません。冬はぬるめのお湯にゆっくり浸かって血行をよくしましょう。ふだん長湯をしない人でも、40度くらいのお湯に半身浴するだけなら結構長く浸かれます。

食生活

高脂肪、高たんぱくの生活を続けていると男性ホルモンが活発になり、前立腺肥大症になりやすいです。動物性たんぱく質の摂取を控えて、食物繊維をたくさん含んだ野菜中心の生活に切り替えましょう。野菜、穀物、大豆などに多く含まれるイソフラボノイドは前立腺肥大症の発症抑制効果があることが指摘されています。

 尿意を感じたら、我慢せずに早めにトイレに行ってください。排尿を我慢してしまうと、前立腺肥大症の原因となってしまうことがあります。また、前立腺肥大症と相関関係にある糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を予防することも重要です。風邪薬や抗アレルギー薬などの中にも、前立腺肥大症の症状を悪化させるものがあります。知らずに飲んでいることもあるので、治療を受けるときには医師に確認しましょう。

終わりに・・・

前立腺肥大を放置していると、健康なときには、無意識に済ませている排尿がスムーズにいかなくなることで、日常生活に大きな支障をきたします。初期段階であれば、生活改善や薬で治る可能性も高くなります。「何かおかしいな」と思ったら医療機関で早めに受診しましょう。

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