
INTRODUCTION
多くの中耳炎は自然に治りますが、そうならないものもあります。また、繰り返し中耳炎を発症する子供もいます。当然、大人も中耳炎を発症しますが、子供の方が発症しやすいといわれています。何故、子供の方が発症しやすいのでしょうか・・・今回は中耳炎を解説していきます。
中耳炎とは
中耳炎
中耳炎とは,細菌やウイルスが耳管を通り、中耳腔(鼓膜の奥にある空間)に感染が生じ、炎症が起きている状態をいいます。中耳炎は、大きくわけて、急性中耳炎・反復性中耳炎・滲出性(さんしゅつせい)中耳炎・の3つに分けられます。なお、中耳炎の多くは急性中耳炎のことを指します。通常は急性の中耳炎は自然に治ります。繰り返し発症するものを、反復性中耳炎と呼び。中耳炎が再発した場合、滲出液と呼ばれる液体が中耳にたまります。この状態を滲出性中耳炎といいます。
反復性中耳炎
半年(6ヶ月)の間に3回以上、または、1年以内に4回以上急性中耳炎を繰り返すことを、反復性中耳炎と定義されます。急性中耳炎を起こすのは3~4歳の子供に多く、反復性中耳炎では2~3歳の幼児が多く発症するようです。特に1歳未満で急性中耳炎にかかると反復性中耳炎になりやすいとされています。発症する要因として、乳幼児期は免疫力が未発達なため、感染症にかかりやすい状態だからです。
滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)
原因で最も多いのは急性中耳炎が十分に治りきらずに、鼓膜の内側に膿〈うみ〉が滲出液となって残ってしまうものです。大人の場合は滲出液が溜まっていることが自覚でき、耳の異常を自分で発見できますが、子供は急性中耳炎と違い痛み、発熱がないため症状に気がつきにくいようです。その結果、気がついたときには、聞こえが悪くなっていたり、言葉の発達が遅れたり、発音がおかしくなったりします。子どもの難聴の原因では一番多いものです。
中耳炎の原因
中耳炎の主な原因
中耳炎の原因の約8割は、口や鼻を通じて、耳管を通り、中耳腔に入り込んだ細菌やウイルスが、中耳の粘膜に急激に炎症を引き起こすことで発症します。風邪をひき、こじらせた場合や、症状が長引いた時に、中耳炎が起こりやすくなります。乳幼児の場合、吐いた飲食物が耳に入ることで中耳炎になることもあります。また、アレルギー性鼻炎による耳管の粘膜の腫れ、子供特有の病気である、アデノイド(鼻の突き当たりの部分)肥大などによる耳管の圧迫で耳管の働きを悪くし、中耳炎を起こしやすくなるようです。
子供が中耳炎になりやすい原因
子どもに中耳炎が多いのは耳管が未熟で、形状が大人よりも、太く短く傾斜もなだらかなため、鼻や喉からの細菌やウイルスが中耳に到達しやすいことで、中耳炎にかかるリスクが高くなります。特に乳児は、生後6ヶ月ころから、おなかの中でお母さんからもらった抗体が無くなって免疫力が弱くなるため、中耳炎の発症が増えてきます。また、子供が、大勢で集まる場所(保育園、幼稚園)で一緒に過ごす場合も感染のリスクが高くなります
中耳炎の症状
中耳炎の主な症状
多くの人は、突然に起こる耳の痛みで中耳炎に気づくようですが、小さい子は耳が痛いとは言えません。乳児の場合は、中耳炎が進行し耳だれが出て異常に気づくこともあります。乳児が耳を触るような動作を繰り返すときには気をつけて下さい。耳だれとは、炎症により鼓膜が破れ、鼓膜の奥にたまっていた膿が流れでた状態です。膿がたまったり、鼓膜が破れることで難聴が起こりますが、適切な治療をおこなえば、一時的な難聴で済み、破れた鼓膜も自然にふさがるようです。
乳幼児の主な症状については以下のようなものになります。
- 耳を引っ張ったり、引っかいたりする
- 夜泣きやぐずり
- 耳痛
- 難聴
- 39度以上の発熱
- 耳だれ
- 下痢
- 吐き気や嘔吐(おうと)
一般の主な症状については以下のようなものになります。
- 発熱
- 耳痛
- 難聴
- 耳の圧迫感
- 耳だれ
- めまい
症状が重くなると、激しい頭痛、錯乱、脳機能の障害がみられることがあります。急性中耳炎を治りきらないまま放っておくと、再発し慢性中耳炎の原因にもなります。そのため中耳炎を発症したら完全に治りきるまでは耳鼻咽喉科に通院するようにして下さい。
中耳炎の予防と対策
中耳炎の予防
ほとんどは風邪によって発症しますので、まずは風邪にかからないことが最大の予防策です。
中耳炎にかからないために以下のことを心掛けましょう。
- 手洗い、うがいをする
- かぜを長引かせない
- 鼻汁を鼻の中にためない
- 鼻の病気の治療をする
- 鼻を強くかまない
- 鼻をすすらない
中耳炎の危険因子として、2歳以下の乳幼児(免疫力が未成熟)、非母乳栄養(人工栄養)、集団保育のお子さん(感染症の集団感染)、受動喫煙、寝させての授乳などが中耳炎を反復させる危険因子となることが知られていますので、気をつけるようにして下さい。
終わりに・・・
小さいお子さんは、中耳炎の症状を訴えることができません。親御さんが、中耳炎にかからない工夫や予防を考えてあげて下さい。もし異変に気づいたら早急に医療機関で受診するようにしましょう。