
INTRODUCTION
食品添加物というと、「身体に悪いもの」「健康を損なうもの」というイメージを持たれる方は少なくありません。しかし、本当に食品添加物のすべてが身体に害をなす悪いものなのでしょうか?今回は食品添加物の観点から、安全な食品と危ない食品を見分けるポイントについて解説してきます。
食品添加物とは?
食品衛生法では、食品添加物は「食品の加工や保存などを目的として使われるもので、健康を損なうおそれがないもの」とされます。
食品添加物を使うことで食品の加工を可能にするだけでなく、腐敗を防ぎ、食中毒のリスクを抑えたり、美味しさを高めたり、栄養を強化したりとさまざまな利点があることは見逃せません。
例えばハムやソーセージに含まれる亜硝酸ナトリウムは発色剤と表記されていますが、実は色を良く見せるだけでなくボツリヌス菌の発育を抑制するための重要な保存料です。危険な食中毒から消費者を守っているのです。
もし食品添加物がなかったら加工が難しくなり、保存がきかなくなります。そうなれば食品ロスの増加や製造コストが高まり、食品の価格が上昇します。「食べ物を安全で美味しく、安定して供給する」ために食品添加物は切り離せないものといえるでしょう。
「天然」「無添加」だから安全とは限らない
「人工」と比べて「天然」と聞くとどことなく安心感を抱きやすいのですが、実は天然由来の成分にも有毒なものはたくさんあります。毒キノコやじゃがいもの芽のソラニンは多くの方が知るところですね。また、身近に咲くスイセンやアジサイにも毒性があり、「天然だから安心」とは言えないことがわかります。
長年にわたり食品に使用されてきた「アカネ色素」は天然由来の成分で、それまでの食習慣から安全と思われていました。しかし、天然であっても安全性を見直すべきという声が高まり安全評価を試験した結果、ラット実験で発がん性が認められて使用禁止となりました。
また、「無添加」という表記も注意が必要です。消費者にとって無添加というフレーズは安全というイメージがあるのですが、無添加にするために必要な保存料が使われず、食品の安全が損なわれていては本末転倒です。もともと食品添加物が必要のない食品にあえて「無添加」と表記し、値を吊り上げて販売するというのも消費者利益を損ねているといえるでしょう。
きちんと表示されているものを選ぶ
食品添加物は使用しても良い量(1日許容摂取量)が決められ、さらに実際の消費者がどのくらい食品添加物を口にしているかも調査されています。その結果、1日許容摂取量よりもずっと低い量であることがわかっています。
きちんと表示されている食品添加物については、過剰に心配する必要はないでしょう。むしろリスクがあるのは無認可の食品添加物使用や、添加物を使用しているにも関わらず無記載になっている食品です。食品添加物はルールを守って使用されれば怖いものではありません。しかし食品添加物を含む食品を過剰に拒否しつづけてしまうと、ルールを逸脱するメーカーが出てくるおそれがあります。
まとめ
身体に必要な食塩や水にも致死量はあるので、摂取量に問題がなければ食品添加物を過剰に恐れる必要はありません。生活に大いに役立ってくれる食品添加物があることも事実です。食品添加物が正しく記載されるためには消費者である私たちが「無添加」であることにこだわりすぎず、またイメージに惑わされることなく、食品を選ぶ目を養う必要があるのではないでしょうか。